読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

12garage

主にゲームと映画についての雑記。

夢と分析

夢日記

夢十夜を読んでいた。

僕は大学で先輩から引き継いだ研究を続けるため、正確には、彼が投げ出した研究を再利用させてもらうため、図書館で本を集めていた。机に重たい本を平積みにし、僕は漱石全集を開いたのだ。
すると、僕と親しくしている女性が一人、平積みした本をしげしげと見つめていた。この本は?と指差していたので、たしか一番下のは西洋の精神史とかそういうのだ、というようなことを言った。それから彼女は僕がゼミに呼ばれていると言ったので、とりあえず本を抱えて後ろについていった。

研究室で、僕は研究が順調だというような旨を話すと、なぜか眉根を寄せた教授が、その本のここを読んでみろと言い、怪訝そうな顔をした見たことのない男性と二言三言、やりとりをした。
仕方ないので、僕はわざわざ平積みにした本から、さっきの一番下の一冊を取り出し、音読した。おそらく、ローマについての記述だった。20行ほどで、1ページ半ほどだ。読み間違えるような難読漢字などは、なかった。

読み終えると教授が苦い顔をした。先ほどの女友達も、なんとも言い難いという顔をした。
教授と話していた男性が、こう言った。「では、私がその部分の行頭に指を置いていくから、前のページから音読してみてくれ」

ローマについての記述は、1ページに減っていた。末尾の部分が、存在しなかった。
最初はこの本がおかしいのだと思った。おそらく誤字脱字と落丁が自然な形で組み合わさったか、それか、読む人をどこかおかしくさせる変な書き方かレトリックか何かのせいだと考えた。
しかしその場にいる全員が、僕を見ていた。本を持つ僕を見ていた。本ではなく、僕をだ。
「君は、確かに研究をしているが、どうやら普通の人に見えていないものが見えているようだな。君が重そうに抱えて部屋に運んできた本は、今のと、漱石の、たった二冊しかない」
目を向けると、男性が「これだ」と、本の上に手を置いていた。本が漱石一冊だけを残して、忽然と姿を消していた。「君は少し休んだ方がいいな」

そんな夢を見た。


少し曖昧な部分を書き直したが、今朝、ほとんどこの通りの夢を見た。夢にしては本当に精巧にできていて奇妙だった。 夢十夜が出てきたが、僕は実際にはいままで第十夜の豚をステッキでひっぱたくシーンだけしか読んだことがないので、たぶん夢でもそこを読んでいたのだろうと思う。

あまりに不思議なので、そこまでしっかり心理学を研究し尽くしているわけではないが、少し夢の解釈をしてみようと思う。
まず、僕をゼミに呼んだ女友達というのはアニマだろう。アニマというのは男性の中にある女性性、また肉体の象徴で、このアニマとうまくいっている夢は肉体と精神が調和している状況だとユングは言っている。女性の場合は同じような役割でアニムスという男性性が出てくると言われている。
また老人などの姿で夢に出てくる偉大な存在というのはグレートファーザーと呼ばれ、その人の知性や理性的なものの表出で、人を導くと言われている。この場合はおそらく教授か謎の男性のことだろう。

つまり、僕は自分の肉体とか知性に、総出で「おまえ頭大丈夫かよ……」と言われたことになる。僕としては肉体のほうが血糖値とか遥かに大丈夫じゃないと思うのだが、たぶん頭も大変なことになっているのだろう。こいつ頭おかしいぞ……という目で見られるのは夢のなかとはいえかなり精神にキたので、気をつけて生活したい。

それはそれとして、ひとつ興味深いのはこの夢があまりにも筋道立っていることだろう。夢というのは大概相当な破綻をしているわけだが、これはそれほどおかしなことがない。
自分で自分のことを言うのもなんだか変な気がするが、夢のなかの僕(主観)は頭が完全にイカれている奴だと思う。それに対してアニマの振る舞いは非常に示唆的だった。伏線というべきなのかわからないが、アニマが最初に平積みした本をジロジロ見ながら僕にタイトルを尋ねたのは、「僕から見てその時点では本が沢山積まれている幻覚が見えている」ということがわかっていたからだろう。僕は僕で下に積まれているせいでタイトルがわからないので曖昧に答えているわけである。まるで「頭がおかしくなってるのを自分で気づいてくれないかな」と言いたげな行動だ。

まあ、なんというか、特にこれを書いてどうというようなこともないのだが、少し面白い経験をしたので、メモとしてエントリにした。本当に変な話だが、言われたとおり素直に頭の養生をしようと思う。