12garage

主にゲームと映画についての雑記。

DIVISIONは、おれのゲーマー魂を打ち直す

 よく来たな。俺はAKLOだ。ふだんはあおい鳥のエス・エヌ・エッスで好きなキャラにあんこくめんを見いだしてニヤニヤしているが、今日はその話をする気はない。おれのすきなゲームのことを書く。それだけだ。

(ちなみに、このブロッゴエントリで使っている文体はこちらの逆噴射聡一郎先生をリスペクトしたものだ。ぜひ一度読んでほしい)


 おまえは、いつだったか、特しゅ部隊ということばに憧れた時代があったはずだ。あるいは、戦隊とか、そういうのだったりしたかもしれないし、Nowでそうなのかもしれないが、細かいことはおいておく。とにかく、おれたちは戦うプロフェッショナルのおとこたちにあこがれたときが、いちどはあった。あるいは、これから来る。

 DIVISIONは、そういう、プロフェッショナルのおとこを感じるためのゲームだ。プロは無駄な装しょくをこのまない。だから、DIVISIONにはお子さんが喜びそうな修学旅行みやげのドラゴンがついてるソードみたいな、そういうアザトイやつはついてこない。使いこんで磨かれたマチェーテのように、ゴトリと重みのある剥き身で置かれている、そういうゲームだ。ダウンロード数かせぎのためにリセマーラを推しょうし、おまえのスマッホの通信量をイタズラにかさませていく腰抜けとは真逆のそんざいだ。



 おれは三年前、このゲームのトレーラーを見て衝撃をうけた。


youtu.be


 ムービーでだいたいわかるとは思うが、かいつまんで内容を説明すると、アメリカでドルインフルという謎の奇病が発生し、政府はきのうしなくなり、瞬く間にNYは法の存在しないすさんだメキシコになった。しかし、政府は腰抜けではなかった。あらかじめDivision(ディビジョン)という、有事のさいにそなえ、市みんのなかに秘みつエージェントを潜伏させていた。そして彼らはたたかってサヴァイヴし、人びとをたすけ、まちを復興する。そういうCO-OPオープンワールド・オンライン・TPSゲームだ。そしてこれは、PS4やSteamで遊ぶことができる(チーターなどと出会いにくいため、PS4版をおすすめする)。

 さっき書いたように舞台はNYということなのだが、非じょうにきびしい世界だから、"NY"はもしかしたら「ニュー・よく見たらメキシコ」の略なのかもしれない。


ぶこつなゲーム

 おまえは、ゲームというと、そこにストーリーやグラフィックス、キャラクターなどをやたらとつよく求める。たしかに、わかる。それはいいゲームかどうか測る尺度のいちぶであり、それはいちおう、DIVISIONにもある。
 というより、むしろグラフィックにかんしては、NYを再現し、そのあとで徹てい的に廃墟にすることで興奮を覚えるような、変態スタッフによっておかしなほど作り込まれている。UBIは、往々にしてそういうあたまがヤバイところがある。

 しかし、それ以外については、きわめてゴツいデザインになっている。DIVISIONはハードコアであり、ぶこつなゲームだ。

 なにしろまず、ホットなベイブがいない。雪の降るニューヨークに、おまえと難民たち、無ざんに吊られたり荒らされたJTFの死体、銃を持った暴徒がいるだけだ。あたまのおかしくなったやつが、感せん者を消どくするといって無辜の民を焼いていたり、凶悪はんがアルカトラッズから脱走してきていたりする。それをおまえが撃ち殺す。そして戦利ひんの銃をかき集める。なんか、こう・・・ヴィジュアルがつらいだろう?正直にいうと、おれもつらい。

 スーパー・ヒーローはおらず、ただの人間に毛がはえた程度でしかないエージェントたちが、アビリティを使って必死に無ほう地帯に巣食う闇に抗いつづける。ヘル・オン・アースだ。当然、敵はつよく、おまえを手こずらせ、たたかいの絵面は地味だろう。そういう、あくまでもモータルの世界で繰り広げられる、リアルなメキシコがDIVISIONだ。そのくせ敵は鉛玉をあたまにブチ込まれてもなかなか倒れず、ぎゃくにおまえは数発でしぬ。おまえにとってリアルであってほしくないところばかりリアルで閉口するだろう。
 そのあまりにもつらいNY(ニュー・よく見たらメキシコ)を目の当たりにしたおまえは、メキシコ・リアリティ・ショックにうち据えられ、トム・クランシーの脚ほんに恐怖し、部屋の隅でスマッホをいじるだけの生活になり・・・・・・そして、ついにはシーライフとかそういったものへの思いやりをもなくし、アマゾッンでろくな分析もできないまま低ひょう価レビューを散らかすロボットになりどうしようもない。


DIVISIONは、お前のたましいを鍛える

 だが、おまえは気づくべきだ。ヴィデオ・ゲームは、たしかにプレイヤーに癒やしをあたえてくれるモノかもしれないが、べつにおまえのママではない。おれやおまえに、適せつな試練をあたえ、乗り越えたときにほう酬をくれる、そういうものでもあるはずだ。


 DIVISIONは、おれやおまえのこころを鍛えなおす。スマッホのソーシャルゲームのように甘くはない。
 まだひん弱な装備のおまえに情け容しゃなくネームドをさしむけて殺しにくるし、ハック・アンド・スラッシュのくせにアイテムドロップりつはエンドコンテンツに差しかかるまでずっと渋い。だいたい特異てんフユキのクソガイコツから落ちる凶骨くらいのしぶさだ。
 だが、理不尽ではない。おれやおまえがきちんと鍛え上げ、ダークゾーンで悪党から尻の毛までむしり取り、りっぱなバンデラスになれば、きちんと倒せる。そのように計算されたゲームだ。ひつように迫られてやアイテムせん別をやっていたお前は、いつしかステータス・ビルッドを考えるたのしさに気づき、漫然とたれながしていたアビリティのCTに注意をはらうようになる。敵の行どうを先読みしてカバー位置をしゅう正しつつ、ISAC(エージェントの肩や腕にそう着されている、デジタル化されたサボタイのことだ)の警告にすぐ対応でき、ダークゾーンの物資を軽々とかい収するようになり気づけばギアスコアは256になっている。そのとき、おまえのたましいは鋼のマチェーテなのだ。


 しかも、おまえは、オンラインで同時にほかの三人までのエージェントと協力し、最大四人のチームを組むことができる。つまり、バンデラスであるおまえに、ダニートレホ、シュワルツェネッガー、ステイサムが加わることにより、単じゅん計算で4バンデラスになる。なおかつ、ひとり三つまでのアビリティを持てるので、戦力はさいだい12バンデラスにふくれ上がるのだ。この数字はおよそ1.7エクスペンダブルズに相当する。前衛と後衛、アタッカーとヒーラーを自然とぶん担できるようになれば、もはやこのメキシコはおまえのための木曜洋画劇場でしかない。


 DIVISIONは、しんのおとこのゲームだ。おれは最初、このゲームにとまどったが、戦い、あらがい、ついにメキシコを復興した。レビューサイトのひょう価などにまどわされるな。このゲームは確かに難しく、ライトゲーマーには向いていないが、かくごを決めたチャレンジャーたちをけっして無碍にはしない。
 そしておまえは理解する・・・・・・ニューヨーク、イズ、メキシコ。エージェントとして難民たちをすくうおまえは、真の男になったのだ。