12garage

主にゲームと映画についての雑記。

RUINER ~ 破壊衝動とモダン・サイバーパンク

 脳をかき回されるようなすごいゲームに出会ってしまった。これは間違いなくヤバい作品だと思う。

 今回、久しぶりにゲームのレビューをしたいんだけど、今回だけは例外中の例外で、まだレビューする作品をクリアしてないんだ。だからあくまで走り書き的な記事になるし、またあとでこの記事を消したり再編集して書き直すと思うけど、ひとまずファーストインプレッションを書かずにはいられない。これは本当にヤバい作品なんだ。


 その名も、RUINER……。キマるゲームだ。


 ※僕自身がまず序盤しかやってないから致命的なネタバレは無いと思うけど、プレイするときの感動をスポイルされたくない人はこの記事を読まないほうがいいと思う。


 (2017/09/27 追記)
 あれから夢中になりすぎて一晩でクリアしちまったので最後の方に少しだけ難易度について追記しておきます。ただ、発売直後ということもありますし、ゲーム内容をこれ以上明かさないほうがいいなと思ったので再編集や再投稿はやめました。クリアした現状からみてもとくに矛盾点はないなと思ったので、ほぼ元の記事のままにしておきます。
 RUINER,めちゃくちゃ面白かったです(・ω・)v




 まずはトレーラーをどうぞ。


どういうゲームか

 まずざっくりと整理すると、RUINERはクォータービューのアクションシューティングゲームだ。言ってしまえば、Hyper Light Drifterに近い。基本的にはHLDのスタイルを踏襲し、近接武器と射撃武器をひとつずつ装備して戦う。ダッシュを使うところなんかも似ているな。

 しかし、HLDと大きく違う点は、多様なアビリティを使いこなして戦うところにある。シールドを張ったり支援物資を手配したり、ハイスピードで展開する局面にあわせてアビリティを使うため、手が非常に忙しくなる。リトライについては非常にサックリとやり直しができるので、開発者が「リスペクトした」という初代Hotline Miamiのいいところをよく吸収していると思う。


世界観

 最高の一言。

 まず、開発者がIGNのインタビューでも語ったとおり、従来の「ブレードランナー」的なサイバーパンクを踏襲しつつ、徹底的に現代向けに打ち直していると思う。

 結局、サイバーパンクを夢想していた時代では、なんだかんだまだパンチカードを使ってるとか考えてたわけで(これについては80年代の名著「ニューロマンサー」がそうだろう)、そこから半導体の時代にしっかりと進歩させなければ現代的とは言いにくい。

 だから、強いて現代の作品にたとえるとすると、彼らが名前を上げていたとおり「SYNDICATE」、とくに僕も大好きなReboot版SYNDICATE(スターブリーズが作ってPS3とかでEAが出してたやつだ)というのが一番近いんじゃないかなと思う。オーグメンテーション技術とか脳へのインプラントとかね。小説でたとえるとするなら「ガンメタル・ゴースト」(原題Ack-Ack Macaque)の文明レベルくらいではないだろうか。
 また、これは僕もやったことがないタイトルなんで安易に名前を出しちゃマズイと思うんだけど、サイバネティクスという要素は結構「Deus Ex」っぽいんじゃないかって感じがある。他にも、企業が牛耳っている社会という意味では「ニンジャスレイヤー」とカブる部分もかなりあるよね。
 ただ、同じサイバーパンクと言っても攻殻機動隊、と言われるとちょっと違うかもしれない。まあ、原作版のちょっとトボけたあの感じはあると思う。

 あと、インタビューで「ストーリー主導」と言っていたように、若干不明瞭なところは残しつつも、相棒のハッカーの女の子が主人公の端末にTipsを逐一いれてくれるので、マイアミほどプレイヤーに解釈を投げてくる感じはない。ここはやっぱりマイアミと差別化してきたなという部分だと思うし、あくまでもこれはこれ、MiamiはMiamiという別な作品だと感じる。

 ディストピアSF特有のシニカルな部分についても少し書いておくと、劇中に出てくる「第三子」というワードはモロに某国の一人っ子政策と黒垓子(闇っ子)の問題なので、風刺という点でもめちゃくちゃキレた作品だ(まあ、一応こういうことを先にやった作品としては、「アイランド」とかがあるが)。これだけでもこのゲームを作った連中はSF大好き人間でかつ、質の高いものを出す能力があるということがわかる。


ビジュアル

 キマリまくり。黒地に赤を基調とした画作りが、完全にオタクの心をつかみに来ていると思う……。

 一言で表すと、AKIRAの色遣いを意識してると思う。そのうえで「ハックされる」という演出をしているというか、glitch artのようなレイヤーを被せてきている。
 表現するのが難しいんだけど、最初の「KILL BOSS」としつこく表示されるあの演出を見ればだいたい僕の言いたいことが分かってもらえると思う。

 で、そんなハードSFな見た目に仕上げているくせにキャラクターデザインがケバくないんだよ。
 ここに関してはほんっっっっっっとうに天才的なバランス感覚だなと思うんだけど、日本のオタク的な「萌え」と海外の「kawaii」を絶妙にブレンドした女性キャラクターが登場するんで、まったく違和感がない。
 ハードな世界観に合うように濃いめな見た目ではあるんだけど、オタク的文法を完全に理解しているデザインで、控えめに日本の萌えマンガ的デフォルメを施したタッチになってるのがマジで上手い。
 まあ詳しくは、キービジュアルに出ているハッカーの女の子を見てほしい。


音楽

 いやこれはもうヤバイね。聞くドラッグだと思う。

 平沢進師匠の楽曲提供が話題になってるけど、ほんと80~90年代のテクノをゴリッゴリに聞かせてきてる。なんつーか石野卓球の気配もするわ。

 で、この音楽の使い方が本当にゲームプレイとマッチしてて、鉄パイプで敵を殴打したり撃ちまくったり自分が殺されたりっていうハイスピードで手が忙しいプレイングとグルーヴを奏でてアドレナリンが受容体に向けドバドバ噴き付けられるのよ。
 Hotline Miamiで言えばRoller MobstarやLe Pervを常時ガンッガンにかけながら戦ってるような、ほんとアガりまくる曲が揃ってる。

 これは間違いなくsteamでサントラと一緒に買うべきだと思うし、ヘッドホンつけてクソデカボリュームで流しながらプレイすべきだと思うよ。


難易度

 クリアしたので追記。これについては結構重要な事なので。

 かなりハードです。プレイヤーが敵をブッ転がしにいくのと同様、敵も全力でプレイヤーを叩き潰しに来る。どういった難しさかというと、理不尽さと納得できる難しさのスレスレ境界といった感じで、相当にエゲツない。

 まあ、Hotline Miami 2のような異常な理不尽さはないので安心してほしいし、即死ではなく体力制で、回復手段もある。こうやって僕自身が一晩ミッチリやってクリアできたくらいなので「プレイヤーの習熟によってクリア可能」なゲームだと思うけど、ただNORMALでも相当死ねるということは言っておく。ハードコアゲーマーでなければEASYから始めることを勧める(たぶんEASYがNORMALに相当するというタイプのゲームだと思う)。

 …ただ、これはあくまで個人的な意見だけど、死んで覚えてうまくなっていくという過程が非常に面白かったうえ、上の方で書いたとおりリトライに全くストレスがないのでNORMALに挑戦したのは正解だったと思う。何しろ、音楽でバリバリにキマってきて「死ぬ」ということすら楽しくなってくるから…
 



 いやほんと、クソオタク丸出しでエントリ書いちゃって申し訳ないんだけど、これは「快作」であり「怪作」でもあると思う。いや上手いこと言おうとしてんじゃなくて、マジで。

 興奮のままに書いてしまったんだけど、現段階だと欠点が「街での移動がちょっと長い」「全体的にバッキバキのカラーリングが目に悪い」くらいしか思いつかないですね。
 難易度的にも簡単なものが選べるようになってるし、ハードコアゲーマーからカジュアルゲーマーまで納得できる作りになってるんじゃないかと思う。ほんやくチームがプッシュするのも納得ですわ。

 RUINER,これはもうほんとイチオシです。バッチリキマりますよ。


 HELLO
 DARKNESS