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主にゲームと映画についての雑記。

最近見た映画の感想2019.1.4(「亜人」「ジョン・ウィック:チャプター2」「ダンケルク」)

 YO!

 お久しぶりです。こちらのほうに記事を書くのはまたしばらくぶりでしょうか?昨年はいろんなところにすっ飛んでいったりしてなかなか記事が書けませんでした。
 ここのところはしっかり時間が取れたので、また近頃観た映画の感想をメモっておきたいと思います。あ、例によってネタバレには配慮しないのでよろしくおねがいします。

 ねこでした。




もくじ


亜人



 「おーーーーー!!!!!」でしたね。これは。冒頭でこれはいい映画だと確信しました。

 亜人は原作の方をいくらか読んであるんですが、これほどまでに満足感がある原作付き邦画は観たことないです。単に僕が邦画を変に避けてるイヤな野郎だからというのもあるとは思うのですが、なんというかエグみがなく、非常にスッキリと観られる実写化でした。

 特に感動したのは、「漫画で特にこだわっている部分はどこか?」という部分を徹底的に洗い出し、それ以外の部分をスッパリとカットした話の組み立て方ですね。彼らスタッフは「亜人」という作品を前にして、ガンアクション・不死・佐藤さんという三要素をピックアップし、それを見事にダイジェストとして仕立てたわけです。いやはやこのセンスはすごい。

 たとえば実写化でよくやってしまいがちなのが、下手に人情に寄りまくり、謎のラブロマンスを入れ、原作にいなかったキャラをどっぷり活躍させ「コイツ誰?」と………あー、やめよう。やめようこの話。あぶない。特定界隈の映画ファンのトラウマを抉りそうで危険だ。……まあその、そういうふうになるわけですね。
 これ、「亜人」が切ったのは間逆なんですよ。こういうのをバッサリ切ったんです。情はいらん!お涙頂戴もいらん!よくわからん原作にないキスシーンもいらん!亜人ってのは、そういうんちゃうやろ?銃器考証と変態ガンアクションやろ。そして佐藤さんやろ!!」と。ほんとなんていうか、英断ですね。とはいえ流石に映画の尺に合わせて小変更されている部分はありますが、これだけ重要な部分にガッツリこだわってくれているのであれば問題ナシです。

 やはりなんといっても、佐藤さんの殺しっぷりがいい。綾野剛が佐藤さんだと、ちょっと若いかな……なんて思う部分もありましたが、やはりそこはドラマでクールな狙撃手を演じたりといった経歴の通り、見事な肉体美とアクションで納得させられました。CGアニメ版を参考にしていそうな部分が多々ありましたが、だからこそ実写として洗練された動きになっていて、佐藤さんのタクティカルな一挙一動に、綾野剛の見事なキレから繰り出される重量感が乗っかって素晴らしい肉付けをしているわけですよ。これはまさしく良い資料をもとに良い役者を当てたことで実現した映像の奇跡と言えるでしょう。感服の一言ですね。

 他にも素晴らしい点はいくつもありましたが、個人的には序盤で永井くんがつい佐藤さんを撃っちゃうシーンが好きでしたね。「あっ、この切り替えの速さは永井くんだな」とほっこりしました。


ジョン・ウィック:チャプター2



 犬と車の次は……家!!

 どーしても、やっぱり、映画の2って中だるみしちゃうんですよね。……「処刑人」とか…ね。悪くはないんだけどもっていう。ジョン・ウィックもやはりその"2のジンクス"にとらわれている部分はありますが、想像よりずっと良い切り口で見せてくれたので、それほど悪い印象はありませんでした。

 コンチネンタル編としてジョンを取り巻く環境や、多種多様な殺し屋を見せてきたのがいいですね。「そうそう!それ!謎めいた黒スーツの殺し屋は、表で別の顔を持った謎の組織に所属してるもんなんだよな!」と非常に満足感があります。ソムリエ…ホテル……いいですよね……。これなんですよ、我々ボンクラが求めるものは。
 それから前作でもそうだったんですが、ジョン・ウィックのうまいところは、ジョンの復讐について「え?それってそんなに怒ること?」っていう観客の疑問を、劇中で先手を打って解消しておくことなんですよね。「え?言うて犬でしょ?そこまで怒る?」に「うるせえ!!!!!!ジョンにとってはな……ジョンにとってはなァ!!!!!!!!!」と回想シーンを入れてくるので、結構ストンと腑に落ちるわけです。あ~、これは敵さんやらかしましたね、と。
 2においては駆けつけ一杯とばかりに出だしから車の恨みで暴れ倒すので速やかにアクション要素を摂取できるだけでなく、「あっ車というかダッシュボードにね!そういうことね!!」とちゃんと恨みの理由がわかりますし、なおかつそれが後で家ごと燃やされるので「あ~~~~、今回もジョンの大事なものをやってしまわれましたね……やってしまったんですね……」とお話の接続にもなるわけです。家を燃やすというシーンがジョンの怒りの薪になるだけでなく、2を観ている我々にも彼の怒りの妥当さをわからせる火口(ほくち)になっている点が、これまたうまいわけですね。


 いやしかしまあ、今回も銃のセンスがシブいですね。最初は前作から続投のP30(前作ではサブとしてグロックも)ですが、今回のソムリエはそんなコンシールドキャリー好きのジョンを理解して、あえて近年定番になったグロックをメインとサブ両方として出してくるところがわかってますね。「ドイツがお好みなのは承知しておりますが……」とちゃんと断りを入れているところもテンション上がります。あ~~~こういう"レベルの高いプロ同士"のわかってる感ね!好き!!!!その後にソムリエが出す銃もベネリなど意外と定番感があるラインナップですが、どこをどうカスタムしてあるか淡々と答えるところが超ツボですよ。パーフェクトだウォルター。ニューヨークのホームレス風暗殺集団がキンバーカスタムを出してくれるところも「ただのガバと思いきや殺し屋らしくキチンとこだわってる……ほー、この組織の性格が出てるな……」と思わせてきてベネ(良し)。


 そうですね……。まあやっぱり、やることはどうしてもガンフーになってくるので、若干の慣れ感が出てしまうところはあります。でもこれに関しては前作が伝説すぎたんですよ。こっちのハードルが異常に上がりまくってるのが悪いんです。なんかものすごい「越えてくるだろう」感を持ってしまうと辛いかもですね。
 でも美しいんですよね、なんだかんだ言って。一発入れて頭でトドメという近接格闘ツールとして完成された銃の扱いが、やっぱビンビンに来るんすよ。芸術ですよ、ガンフーは。

 全体的に見て、丁寧に仕上げてきた、という感じですね。特にこれと言って不満もなく、良い続編だったと思います。個人的にガンフーがやや食傷気味という部分はあったんですが、時間を置いてまた見たら素直に楽しめるかなとも感じますし、客観的に見るのであれば悪くない感じだったかなと。


ダンケルク



 あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~。

 なんか「あー」しか言ってねえなこのブロガー、頭大丈夫か?自分でそう思えてくるんですがダンケルクに関してはどうしても第一声で出ちゃいますね……。重めでたまらん映画を見ると語彙が全滅してしまうんですよ。好みなので。

 ダンケルク、戦争映画なんですけど、想像以上に撤退戦してるんですね。コレ。いやこう、自分としてはちょうどバトルフィールドVもやってるもんですから、もっと陸戦ドカドカドカ!!銃撃戦バンバンバン!!から始まると思いきや最初からバチバチに負けてる敗残兵なんですよ。完全に死角から「おっ、そう来る!?!?」って感じで叩き込んできましたね。


 だから変な話、我々が想像する戦争っぽさってあんまりダンケルクには無いんですよ。だって戦ってないから。空戦はありますが、ほぼほぼ歩兵は銃撃たない。敵の大軍にいまさらプチプチ撃ったって意味ないもの。なんで、ダンケルクは本当に「逃げる」「生き残る」をテーマにしてて、そういう意味では全然激しい映画じゃないんです。
 僕自身ミリタリーに関してはさして明るくないので「これちゃんと戦争映画として味わいきれるかな…」という一抹の不安もありましたが、上記の通りあまりにも濃すぎる陸戦とかはほぼほぼしないので、いい意味で知識を必要とせず見れる感じで良かったです。なんというか「ヴァアアアアアアアアアアアア!!!!!ジェリコのラッパこえええええええええええええええ!!!!!!!!」みたいな盛り上がり方ができたのでいい感じに雑に楽しめました。
 でもべつに、考証が甘いとかそういうことではまったくないと思います。僕の分かる範囲ではですけど、地面に寝転がり仰向けになって対空射撃をしていたり(確かライフルでの対空射撃はこの姿勢でやるのが正式というような情報をどっかで見た記憶がある…)といったこだわりポイントも結構あるようで、なんというんでしょう、「きちんとこだわってるんだけど本筋はアッサリ見れる」って感じでしょうかね。非常に良く出来てるように思います。



 しかしこの……。「帰るまでが戦争よ♡」と言わんばかりの情け容赦ない爆撃。やばいですね…。これはどんなに幻想抱いてても戦争行きたくなくなりますわ。あの砂浜の列、誰だって絶対加わりたくないって思うよ。シュトゥーカ半端ないって!!めっちゃ急降下爆撃するもん!!
 そんなこの世の地獄の中で、必死に逃げ回ってなんでも使えるもの使って足掻いていく主人公の姿にはマジでのめり込みますね。うへぇ~~~~!傷病兵をな!!悪知恵まわるなぁ~~~~~!!!!!とかずっと驚かされっぱなし。生死の境目ギリギリを行ったり来たりすると人間はこれだけ機転が利くのかとぶったまげますね。
 だからダンケルクは、戦争映画というよりは人間ドラマ……サスペンス……というような表現が近い気がします。無論、四六時中爆弾が降ってくるのでこれも戦争っちゃ戦争なんですが、撃ち合いのようなアクション性あふれるシーンは少なめに感じますね。

 しかしただただ絶望の物語であるかというとそうではなく、ファリアのようにギリギリまで、すべてが擦り切れるまで誰かを守ったものもいたんだという描写もそのなかに存在し、非常に胸を打ちます。これはただ単純に取ってつけた「英雄」ということじゃなく、ファリア自身が途中で仲間を見捨てて帰投しようか迷うシーン、集中力が切れて爆撃を許してしまうシーンなどを描いていった上で、生々しさをともなっているからこそ一際美しく説得力を持ってたち現れてくるもので、深く心のうちに納得させられるなと感じました。

 ん~~……なんていうんだろう。ダンケルクって、反戦映画としてめちゃくちゃ完成度が高いと思うんですよ。登場人物みんな死にたくないので、ひたすら生き汚いですし、我々が憧れるようなヒロイズムをとにかく叩き潰してるんすよね。よくありがちな銃後の話だけじゃなくて、「前線はマジで地獄なんやぞ……」とまざまざと見せつけてくることによって、絶対あの防波堤の上に立ちたくねえな、と自然に思えてくるわけですからね。映像の暴力というか、問答無用でわからせてくる感じがあります。

 変な話ですけど、虚淵玄作品が好きな方にはダンケルクを観てほしいですね。これこそ!っていう構成なんですよ、マジで。世界が残酷で絶望で満ちているからこそヒトの心の光が美しいんだ、と。戦争詳しくなくても見れますし、ダンケルクはイチオシですね。





 ひとまず、こんなところでしょうか。なんかめちゃくちゃ長くなってしまった。あと二本観た映画があるんですが、その話はかなり長くなりそうなので後編として明日に回そうと思います。
 ちなみに予告すると「レディプレイヤーワン」「バーフバリ 王の凱旋」です。ククク……クソ長感想記事を震えて待て……。

 という話はひとまず置いておいて、この三本はやはり個人的に当たりの映画だったと思いますね。特にダンケルクはグロシーンもほぼないと言っていいくらいだったので、戦争映画デビューの一本としてもオススメです。

 ◆いじょうです◆