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主にゲームと映画についての雑記。

おれはゲーマーの皮を被ったスカム野郎が許せねえ サイバーパンク2077を袋叩きにする自称"事情通"ども

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"Quis custodiet ipsos custodes?" - Decimus Junius Juvenalis

 2.0.2.0.年も暮れようかという今、最高にアツくて楽しいSFアクションゲームが発売された。そう、サイバーパンク2077。おれが勝手に師と仰ぐ逆噴射聡一郎氏も注目しており、おれ自身も密かに楽しみにしていたゲームだった。

 PS4で接続のタイムアウトにヤキモキしながらダウンロードを持ち、ゲームを起動した…… 最高だった。確かに最適化不足や粗はある。だが、それを補ってあまりあるストーリーがおれを出迎えた。メインクエストの面白さもさることながら、サブクエストによる世界観の肉付けも没入感を増し、チンピラから巻き上げた銃でヤバい修羅場を首の皮一枚で渡っていく……そんな世界が構築されていた。

 しかし、そんなおれのタイムラインにこんなニュースが舞い込んできた。


 

news.yahoo.co.jp


 おれは完全にブチギレた。記事はどうでもいい。そんなことは知っているからだ。アオリ文もかまわない。些細なことだ。だが、おれはこれが許せなかった。


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 こういう奴らだ。こういう、訳知り顔で「ふんふんなるほどね。よく知らないけどどうせこんなもんだよ。反省しとけよな」みたいな事を言う奴らにおれはめちゃくちゃに腹が立っている。確かに何でもかんでも知ってなきゃだめで、当事者以外は口を開くななんて横暴なことを言うつもりはない。だがこういうやつらは本当に「洋ゲー」を語る資格があるのか?PS storeでインディーズゲーセールを覗いたことはあるのか??一度でもsteamを立ち上げたことはあるのか????

 yahooコメントなんてものにいちいち怒るのかなんて言われるかもしれないが、しょうもない情報が1フレームで拡散するこの世の中、どうでもいいからと見くびって放置しておくとろくな事にならない。しょうもないことを書いて外野から正義ヅラするやつがいるなら、それに反論する記事を書いたっていいはずだ。おれはおまえらゲーマーに魂のシャウトを浴びせたい。そうしておれはキーボードに憤怒を叩きつけている。



CD projekt REDはマジのゲームクリエイターであると知れ

 まずこの騒動を語る前にCD projekt REDについて知らないと話にならない。このゲームは十年以上にわたり、Cyberpunk2.0.2.0.というテーブルトークRPGの世界をテレビゲーム化することを念頭に開発されてきた。凍結期間もあっただろうが十年以上プロジェクトを捨てずになんとか実現できないかと努力してきた結晶がこのゲームだ。これをああいうゲーマーと呼ぶのすらはばかられるやつらにごちゃごちゃ言われるだけで既に虫酸が走る。あいつらのような浅くて何も知らないよちよち歩きのベイビィちゃんがスマホで詐欺広告に釣られ、オンゲから盗用した素材をキメラにして金をせしめようとするチンケなクソゲーを始める前からこのゲームは企画されている。

 はっきり言っておく。「どうせ発売後アプデでどうにかしようといい加減に作った洋ゲー」といういい加減な言葉を吐くのをやめろ。金輪際だ。ゲーム会社にも資産があり、熾烈な競争の中で作品を作り、家族や子供を食わせるために制作をしている。金をもらって仕事やってる社会人をナメるな。相手の仕事に最低限のマナーを持って相対するのは人間としてアタリマエのことだ。
 俺たちゲーマーは、買ったゲームの良し悪しを語る権利はある。金を払っているからな。駄作に対して、なぜ駄作になってしまったか考えたり情報を探すのもいい。だがいい加減なことを言えば、自分だって叩かれても仕方ないという自覚が足りない。おまえらがそうやって鼻ほじりながら知ったようなツラしていい加減なコメントを書くはるか前からコツコツ仕事をし続けてきたことを知れ。


www.cyberpunk.net


 むしろ評論家ぶって業界にデカい口ききたいなら、こういう謝罪や返金といった事後の対応をしっかりやる会社を育てていく大切さを理解していて当たり前だと思うのだが、どうもそのへんの長期的視座が欠けたゲーム評論に自信マンが散見される。こういう問題に首を突っ込むならプレイヤーのハードディスクをぶっ壊して5000円のクオカード配った和ゲーのようなやつがたむろしているのを忘れてはいけない。  記事を読んでいるならわかると思うが、CD projekt REDは継続的なアップデートを約束している。やってしまったことはやってしまったことかも知れないが、おれたちは彼らが責任に対して誠実な対応をしていることを踏まえて向かい合うべきだろう。


おまえらのような怠惰なWACKが警察気取りか?

 大して調べもしないのに訳知り顔する業界通マンも大概ムカつくが、おれが真実いちばんブチギレているのはニュースをサラッと読んでいかにもそれが事件の全貌であるかのようなツラをする連中だ。そういう自称意識高いやつらがこぞってSNSに得意顔でタグつけて外野からヤイヤイ言い、いかにもわたしは差別反対派ですよとかいうようなツラをしてデマをぶちまけ無辜のコンテンツにデジタルタトゥーを刻み込む。おまえらのたわごとはウィットもなければ内容も体調を崩すほどに面白くない。

 これはおれが以前からしつこいくらい事あるごとに言っていることだが、かつておれの好きなDDLCというゲームが自殺者製造機という濡れ衣を被せられたことがある。

arcadia11.hatenablog.com


 この記事が特にその件について詳しい。(このブログについてはまたあとでも紹介するが、非常に参考になるサイトだ)
 要約すると「自殺した少年が生前に遊んでいたゲームの一本にたまたまこのタイトルがあった」という事実を曲解して「このゲームが自殺者を生んだ」といい加減なメディアが書き、多くのゲーマーが確かめもせずに話題に乗っかったという事件だ。

 この一件が起きたとき、SNSでは不正確極まりないソースをもとにトレンドになるほどやんややんやくだらないデマに踊らされる人々を見てきた。そのなかで「ゲームが犯罪者を生み出すわけない!!!オタクへの偏見を助長するな!!!!」とか普段言ってるアルファツイッタラーの連中も「もしかしたら本当に自殺者を出したのかも…」とか手のひら返して寝ぼけたことをほざいていたのだ。波に乗っかってDDLCへの的はずれな批判すら出てきた。おれはその時ほど片っ端から他人の口を縫い合わせたり指に釘を打ち込みたいと思ったことはない。私は好きなものを差別から守る!などとイキっているやつらも所詮この程度のウカツなレイシストだったのかという失望がおれのなかに根付いた。

 つまりおれが言いたいのは、おまえらもこうなっていないかということだ。もちろんこれは怒り狂っているおれ自身も当てはまることで、いつだれだってああいうデマを丸呑みにするクソブタどもになるかわからない。
 何でもかんでも知ったかぶって熱に浮かされて棒で叩くのは今すぐやめろ。なあ、おれはいまおまえがサイバーパンク2077に振り上げた拳のことを言っているんだよ。いいか?大きい流れが生まれたら源流を探すクセをつけろ。デカければデカイほど気をつけろ。二件、三件の情報源を探して比較しろ。おまえら一人ひとりがそうしてリテラシーの程度を一段上げることでいつかおまえの好きな作品が情弱イナゴにたかられるのを防げるだろう。
 今回の件でも同じだ。いいかげん世のオタクどもはしょうもない妄言でおれをブチギレさせるな。自分がネットに慣れ親しんでると思ってんならなんでもかんでも流行りやマジョリティに乗っかってないでその程度の情報精査くらいやれ。


ゲーマーのおまえは本当に「洋ゲー」を知ってんのか

 べつに話題の何かについて話すために知識などいらない。ただ何かを叩いたり非難するなら、ちゃんとその業界の相場や事情については理解しておかなくてはならない。「お前は何様の立場でそんな偉そうなこと言ってんだ?」と思われるからだ。だからおれはコアゲーマーぶって下手人をぶっ叩こうとウズウズしてるやつらが本当にゲームをやってんのか訝しんでいるし、「お前は何様の立場でそんな偉そうなこと言ってんだ?」と思っている。
 といっても「ゲームというとかつてエル・アヘドレシスタが、pongが」という話はしない。そういうことじゃない。自分が軸足を置く界隈について、そしてコメントなりレビューなり記事で語ろうとする世界においてどれだけシーンを把握しているのかということだ。
 今回の記事にくっついているコメントにもパブリッシャーと開発元の区別もつかないくせにいろいろ言っているグラセフキッズ*1のような連中がいるが、本当に「洋ゲー」というデケえ主語を使えるほど詳しいかというと怪しいというのがおれの見立てだ。曰く、洋ゲーオープンワールドばっかりだの、バグをわざと残したまま発売してるだの。自称ゲーマー様は言いたい放題だ。オイ、正気か?顔に不良品のオプティクスつけてんじゃねえのか?記憶デバイス不良セクタだらけになってんじゃねえの???

 まず当たり前のことだが洋ゲーとは広く海外のゲームのことを指し、とてもじゃないが対象が広すぎて「洋ゲーが」というくくりをすると主語がでかすぎる。「洋ゲーはバグが多くていい加減」とかいう評価の仕方は「最近の地球上の酸素は味が悪い」とか言ってんのと同じだ。それをただ言うだけなら知らんが、批判としてその主語を使った場合は何の説得力もない。

 だから「洋ゲー」について教える。といっても複雑な話をごちゃごちゃする気はない。最低限知っておくべきことと読むべきサイトのリンクを書いておくだけだ。


今の洋ゲーはこれだけ知っておけばどうにかなる。とりあえずは

 おれは騒動についてめちゃくちゃ怒っているが、別にいろいろ知って考えようとしている人をぞんざいに扱いたいわけじゃない。その逆だ。
 このエントリを読みに来てくれた人の中にも、そういうしっかりした人がいるだろう。だからおれの知っていることを少しだが伝えさせてもらう。


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 まず、教材としてこのようなスクショを用意させてもらった。これは洋ゲーの本場、Steamという販売サイトが公表している本日の同接数である。

 洋ゲーというのはいろいろな買い方があり、日本語化されたものをパッケージやゲーム機のストアで買う以外にも、ゲーミングパソコンで買って遊んだりもできる。このSteamという販売サイトはただ売るだけでなくゲーマー同士のコミュニティを作れたりする業界最大手のめちゃくちゃデカい販売サイトなので、マジのゲーマーと洋ゲーを語る上ではまず知っていて当たり前という顔をされる。知っておくと損をしないし、なんならさっそくsteam専用アプリをダウンロードしてしまうのもいいだろう。

 さて、本題に入る。このスクリーンショットには「今日(2020/12/19)steamで遊んでいる人が多い順に並べた順位」が載っている。ざっくり言えば「世界でいま流行っているゲームの一覧」と言っても差し支えない。
 詳しく見ていこう。この中でオープンワールドはご存知サイバーパンク2077含めてざっと8タイトル、マップがデカいオンゲを含めて甘めに見積もると10タイトルくらいある。確かにオープンワールドは流行っているといっていい。しかし鋭い人はここで気づいただろうが、サイバーパンク2077を挟み込んでいる一位と三位はオープンワールドのゲームではない。
 本日の接続数ピークではサイバーパンク2077にほぼダブルスコアをつけている圧倒的一位のCounter Strikeというタイトルは、オンラインで銃を持ったキャラクターをあやつり戦う対戦FPSだ。こいつはHalf-LifeというゲームのMOD*2として20年も前にただのゲームファンが作ったゲームで、今でも改良を重ねながらサービスが続けられている。三位のDota 2も対戦オンラインゲームだ。こっちはStarCraft: Brood Warという戦略ゲームでこれまたファンが作成したマップに端を発するMOBA*3のひとつ。

 おれの個人的な業界研究を述べさせてもらうなら、洋ゲーというのは単純に自由度を求めてオープンワールドが流行っているだけではなく、駆け引きが視聴者に受けるためDbDやamong usがストリーミングで人気だったり、たとえばインディーズの小粒なタイトルにおいては返校-Detention-のようにポリティカルな部分に絡めたタイトルもヒットした結果ドラマ化されるなど手堅い人気を得ている。

 このように、まったくのさわりをざっと見るだけでも、洋ゲーというものが複雑怪奇なことがわかってもらえたと思う。なにしろ世界人気一位と三位のゲームがシロウトが作ったものから十年以上発展を続けたタイトルという時点で大変にややこしい。その複雑怪奇でおもしろいのが洋ゲーというやつであり、こいつを語るにはなかなか一筋縄ではいかないぞというのがわかってもらえたと思う。


 そこで、宣伝というわけではないが、読むだけで昨今のゲーム界隈の話題がざっくりとわかるニュースサイトをおすすめしておく。

arcadia11.hatenablog.com

 このゲーマー日日新聞は、おれが十五年以上ネットでいろいろ見てきた中でも洋ゲー含む昨今のゲーム事情に詳しく、記事の内容にこだわっている。おれは広告料や原稿料目当てに盗作したり適当なことを書くライターの風上にも置けんアフィカスや企業系攻略サイトの連中は親の仇のごとく憎悪しているのだが、ここに関しては手放しで良いと言える。管理人のジニ(J1n1)氏はテレビやラジオ出演をしつつもsteamでゲームを800本くらい遊んでいる変態ゲーマーなので、この人のゲーム紹介記事を読んでみるだけでもメチャメチャ勉強になる。「今の洋ゲーのトレンド」「ゲーム業界で起こる事件の問題点」を手っ取り早く知りたいならここは外せない。言いすぎかも知れないが、ゲームを語ろうと思ったら一度ここの記事をひとつくらい読んでおいたほうがいいと思う。


洋ゲー事情を踏まえた上でのサイバーパンク2077について

 そういったところを理解した上で今回の対応をみるなら、おれはCD Projekt REDの対応は過剰な非難をされるべきものではないと思う。

 たとえば、奇しくもおれが過去PS4で発売日に買ったANTHEMというゲームがある。


automaton-media.com


 このゲームは要素要素が面白い*4のにロードが異常に長かったりエラー落ちを頻発させるということからゲーマーの不興を買った悲しいタイトルだ。おれも嫌いではなかった。URLから記事を読んでもらえればわかるが、開発スタッフを無理やり親会社の別タイトルの応援に回されたり、使い慣れていないゲームエンジンの採用を強要されたという経緯がある。
 で、彼らは返金に応じたか。応じていない。それが普通なのである。「これからもっとゲームを良くします」と発表し開発自体は続けているが、このような大々的な声明を出して返金に応じているわけではない。steamのように全てのゲームに対して返金対応をバックアップしているショップならともかく、PS4はPSstoreが一般窓口から個別に返金に対応しただけである。
 もっとも、おれはこの件でANTHEMをそこまで責めるつもりもない。さっき言ったとおりこれが普通なのである。もっとひどければおま環*5と言われて音信不通がオチだ。

 であれば、自分らの落ち度を素直に認め、修正アップデートのタイミングを明示して返金できるようにSonyにも掛け合ったCD Projekt REDを不誠実だとするのはやや無理があるとは思わないだろうか。PS storeから販売できないようにしたのもこれ以上納得を得られないユーザーが買ってしまうのを防ぐためであり、どんなに不具合があっても収益のためにしれっと置いておくゲーム会社が世にあることを思えば比較的良識があるように感じられる。エラー落ちなど自体に不満を感じるのはもっともだが、彼らが返金やアップデートを約束したことに対してグダグダ文句を言うのはズレていると言わざるを得ない。この業界にしてはかなり出来ることをやっているほうであり、信じて待つに足る会社なのは間違いない。

 そういうわけで、どうせニュースにならなければ不具合自体を知りもしなかった人々が彼らの対応にイキリちらして的はずれな暴言をグチグチ言っているのはサイバーパンク2077を楽しく遊んでいて対応に納得しているおれからすれば不愉快であり、おれがクソ不愉快に思うのはなぜかという視座を少しは共有できただろうか。


作品を叩くならおまえの後ろにその作品のファンがドス呑んで立ってると思え

 というのが俺の結論だ。やってもいねえのにamazonのレビューでエアプ低評価つけるやつ、勢いだけで大したことないつまずきを炎上させようとするゴミ野郎、業界通ぶったドヤ顔でまとめサイトを鵜呑みにしているようなカスどもはクソくらえだ。てめーの趣味ひとつにもまっすぐ向き合えねえで斜に構えたクズは一生便所から出てくるな。おもしれえゲームをやれ。やったゲームを愛せ。感想をしたためたりファンアート書いたり考察するのもいいし批評という形で愛するのもいい。下手でもいい。愛があればいい。


 愛してんならつまらねえことでスカしてんじゃねえ。狂ったようにゲーム愛をぶちまけろ。俺が言いたいのはそれだけだ。



 (2020/12/30 追記)
 蛇足だが記事中の誤りや欠けを補足する記事を書いたので補記しておく。
執筆後記 もしくは寄せ集めのブルース - 12garage


*1:Grand Theft Auto自体はいいゲームだし、そのプレイヤーも一般的には悪いわけではないのですまないが

*2:拡張データの俗語。もとになるゲームに機能を追加したりする、ファンが作ったデータ。ものによっては元のゲームからまるごと別のゲームのようにしたりする

*3:マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ。キャラクターの駒をリアルタイムに動かし勝利を競う戦略ゲーム。チェスをややアクションゲームに近づけたようなものだと考えるとわかりやすいだろうか

*4:おれはジャベリンをメタルマンの色に塗って爆笑したりスコープドッグRSCみたいなカラーリングにするだけでも結構楽しかった

*5:お前の環境だけ、の略。お前の使ってるマシンが貧弱か問題があるからという意味