日本人がゲームに低評価レビューをつけやすいのかという話題で悲しい論点のズレが生まれていきそうな気がするという駄文
まず謝りたいのがこれから書くこの記事がま~~~~~ったくなんのデータもなく僕の感想文を書くだけの記事になってしまうことでものすごく律儀にデータを出された男鹿梨衣子氏に申し訳ないのだが、なんとなくイヤ~な未来が見えた気がしたので取り急ぎ書く。
タイトル通り、「日本人が低評価レビューをつけやすいのかという話題で悲しい論点のズレが生まれていきそうな気がする」という記事です。
もくじ
発端
発端と言うかそもそもの話の始まりは「海外は★5をよくつけるのに日本人は★3とかをつけるし無駄に厳しいのでは」という話題(だと思う。情弱なので源流が辿れん、すまん)。
この話題に対して
こういった検証記事を、Vtuberの男鹿梨衣子氏が書かれました。
まず、お疲れさまです…。よくぞ調べていただいたと言うか大変な労力をかけられたのだと思います。この記事に対していろんな反応があり、僕も男鹿梨衣子氏の意見や主張に正直肯定的ではないのですが、まず間違いなくデータを出すという労に関しては称賛されるべきだと思います。本当にお疲れさまでした。
これらの記事の内容は「Steamに投稿されたレビューを元に、日本人が(他国のレビューと比較して)多く悪評をつけているのか」というもので、自動化されているとはいえ1000件超えのゲームタイトルからデータを抽出されています。これは面白い記事なので是非一読されたほうがいいと思います。
ここからの話をするに当たっての自分のスタンス
まずこの話題に関して僕のスタンスを明らかにしておいたほうが良いと思うので説明しておきますが、アマゾンやsteamでおよそ十年くらいゲームのレビューを書いてきた経験から「高評価とか星の数とか関係なくクソレビュー書いてるやつが憎い」というデータもインタビューもクソもない偏見そして私的感情100%の見方をしています(レイダー並の思想)。いわば日本人というより全人類のクソレビュワーを憎悪しています。なので今回の話題については僕自身もやや違う方向を向いて書いているということをお伝えしておきます。そのへんの狂ったモヒカンが斧を振り回しながら外野からこの記事を書いているんだなあ、ということをご了承ください。
ゲーム記事ライター・寺島壽久氏の反応
ツイッターのpostを貼るのは晒しみたいであんまり好きではないのですが引用いたします。
筆者には悪いが、開発者から日本人はレビュー悪いって話しか聞かないし、自分の持ってるデータもそう。
— 寺島壽久/ゲームキャストの中の人 (@gamecast_blog) June 14, 2021
よく言われる「日本人のゲーマーはすぐ悪評をつけるし、市場規模も小さいので海外から無視されることが多い」という論説は果たして本当なのかどうか? https://t.co/y73XJazkVq
この寺島壽久氏もまたスマートフォン向けアプリゲームの記事を長らく書かれているライターさんです。寺島氏の視点からするとまた違った結論があるということで、ちょっとこの話題が盛り上がりつつあります。
この件については、Twitterで語ると途切れたりするので、先に洋ナシさんに語ったとおり、1ヶ月以内に出すであろう記事で自分の観点と、実際にパブリッシャー・開発者から言われた話とを混ぜてちゃんと記事化して語ろうと思います。
— 寺島壽久/ゲームキャストの中の人 (@gamecast_blog) June 15, 2021
もちろん男鹿梨衣子氏と敵対的とかそういうことではなく、近いうちに違った視点からの記事を出されるということなので、冷静に記事を待ちたいところです。
おそらくこのさきSNSの人々は話がズレていきそう
ということでお二人についてはこんな感じで違った視点から記事が出されていきそうなのですが、今回の件を受けて今後SNS上での話題がズレていきそうだなあ…と思ったのでそれについて書いていきます。
Steamかどうかで話がズレる
まず先程リンクを貼らせていただいた男鹿梨衣子氏の記事なのですが、これはSteamのレビューを元にしたデータなので、「Steamか別媒体か」を気づかずに一緒くたにしてインターネッツの人々の話が無限にズレていく気配があります。
Steamでレビューを書いたことがある方はご存知かと思いますが、そもそもSteamというのはレビューを書くために
- その人はそのゲームをライブラリ内に所持していたか(すでに返品したかは問わない)
- その人は一定以上のプレイ時間があるか
という条件を満たす必要があります。この条件を満たさないと書けません。
つまり男鹿梨衣子氏が調査されたレビューはあくまでSteamという一定のふるいにかけられたプラットフォームでのレビューの話なのですが、そこをほかと一緒くたにしてしまうとおそらく話がズレていくかなあという印象です。
非常に雑なまとめ方をするとSteamという場所に投稿されたレビューはそこそこに「お行儀が良い」のです。ええ、たとえ「うんち!」としか書かれていなくてもそのレビュワーはある程度そのゲームに対していったんお金を払ったりしばらくゲームを起動してあるのですね。無論どこそこの国ではそれでもとんでもないレビュー爆撃が行われたりするのですが、あれですらそのように一回買ってしばらく起動しておかないと書けないという手順に則っており、わずかながらにも「書くまでのハードル」が設定されています。
もちろんふるいにかけられているという点では日本のレビューも外国のレビューも同じことですので、つまり「Steamという多少ハードルが設定された場所での日本と海外のレビューの比較」というのが男鹿梨衣子氏の検証となるわけです。ここは男鹿梨衣子氏が悪いとかではなく、この方がされたのはあくまでSteamという場所での検証の結果だよということを把握して話を進めていかないと論点が無限ズレ列車編になっていくので我々は気をつけたほうが良いですねということです。
評価の付け方かレビューの質の話かでズレる
そもそもの発端(と思われる話題)は「海外では★5とかをよくつけるのに日本人は星を低く厳しくつけがち」というあいまいなところから話題が広がってきているので、「日本人は高評価のレビューをつけない」という視点での話と「日本人のレビューの仕方(品質)が良くない」という視点での話に分岐して両者がゴチャゴチャになりそうな気配があります。
この場合前者の視点からSteamという場で検証されたのが男鹿梨衣子氏と言えるでしょう。そして記事自体はこれからですが、ツイートから判断できるスタンスとして寺島壽久氏はどちらかというと後者の視点に立っておられるのではないかといったところです(だから寺島氏は「違う視点」と表現されたのかな?とも思います)。
日本人は海外と比較して低評価をつけるのかそうでないかという二値的な数字上での話では、Steam上に限るとはいえ男鹿梨衣子氏の出したデータはかなり説得力のある数字だと思います。ただレビューの品質的な話という観点で行くとたとえば「高評価をつけているが全く無関係な内容が書いてある」とか「全く関係ない私怨で荒らしレビューをされている」とかそういった一個ずつ中身を精査していく文系的な話になっていくので、言ってしまえば似たようなことを話しているんだけど目の付け所がぜんぜん違ってきます。
ですのでレビューが高評価低評価どっちが多いのかという見方とレビュー自体の質や民度を問う見方の話が混じりつつあるということをこの話題に乗っかっていく中で把握していたほうがいい違いなんちゃうかなあ?とモヒカン的には感じています。
日本人はだいたい日本語のレビューしか読めない
あたりまえやないかとネプチューンの名倉さんに突っ込まれそうな見出しですがここも気をつけるべきポイントだと思います。
我々、外国語どれだけ読めるでしょうか。僕は英語のFuckとかWankerとかSmeg headくらいならわかるんですがタガログ語とか出されても一切読めません。
なので個人の印象というもの以上を根拠として、世界中のレビューと比較して日本のレビューはどうか?という話をするのはかなり難しいです。そう考えていくと「日本人のレビューは」という切り口で他国と比較しながらこの話題を完璧に語れるのはゴドーワードくらいしかいないのではないかな…という気がします。ただ、「あくまで印象では日本人はこんな感じだよね」という限界を設けた話であれば我々の知識でも十分に論じられる範囲ではありますし、データやソースのない話、と前置きしてならいっちょがみしても論点はズレてこないと思いますね。
Amazonとかアプリストアのレビューを含めると……ヤバい
そしてさらに気をつけるべきはAmazonとか携帯機器のアプリストアでのレビューを中心にこの話題を考えるともうそれは抜け出せない沼になってくるということです。御存知の通りAmazonとかアプリストアというのはレビューに関する制限がかなりゆるくそれはもう書き放題ということになってきます。ということで「だからこそ調査して実際どうなのかハッキリさせよう!」という流れになるとは思うのですがレビューを調査する対象がどこからどこまでとか調査方法はどうするか考えるだけでもうヤバそうな気配しかしません。
しかしながら一大物流かつレビュー件数が膨大なAmazonや各アプリストアをこの話題から除外するのは不可能なので避けがたい道ではあります。ここを調査しないかぎり「日本人は海外の人々より星の数を低くつけるのか」という疑義をただせません。
つまり私達はこれらクソデカ統計羅生門の前に立たされておりどうにかしてこの世界最強のやばすぎるビッグデータを検証しないかぎりは100%この話題について確実な回答ができず、それぞれの視点、局所的なデータからなんとかして全体像を考えるくらいしかできないですし、論点がズレるとかズレない以前の話なので外野のインターネッツの我々としてはまだドヤ顔で結論を出し切るのは待ったほうがいいかと思われます。
なんか長々書いてみたんですけど様子見しようとかいう普通の結論が出ましたね。おわり。
<了>
【蛇足】ちなみにモヒカンレイダーの筆者は本件をどう考えてるの?
ここからはまったくの余談であり隙自であり読む必要のないお気持ち表明なのですが、筆者の僕自身「クソレビュワーの首ねじ切っておもちゃにしてやるぜ!!」と憎悪に煮えたぎったINT低そうなレイダーである理由とこの件のついての考えを多少書いておきます。
というのも僕は先述したとおり10年くらい買ったゲームのレビューや感想をこのブログやAmazonやSteamやらいろんなところに投稿しているのですが、そのなかでどうしても荒らしレビュワー等程度の低い輩とエンカウントするという体験が蓄積してきています。もちろんこれは日本人である以上日本語のレビューを読むことが多いですし、負のイメージのほうが記憶に残りやすいからといった作用もあると思います。
それに当ブログもありがたいことにちょっとだけ年始あたりにバズっていたのでなんとなく見覚えのある方もいらっしゃるかもしれませんが、サイバーパンク2077に対する風当たりについて当時むやみやたらに煽ってるんじゃないかと異議を唱えたりしたこともありました。
そんな自分からすると今回の「日本人は低評価をつけやすいのか?」というテーマはちょっとぼやけた設定かなあと思っています。そもそも批評と批判をごっちゃにして「批判は何も生まれない!」とおっしゃるような方とかも世の中にはいるので、そのへんハッキリさせないとずっと話が噛み合わないんじゃないかなと。
僕の視点からこの話題をシェイプアップすると、あいまいな直感で評価点をマイナスしたり、無闇矢鱈に流行りのゲームと比較して貶めたり、評価軸がグニャグニャで自分の好みにあってないのをゲームのせいにして減点したりする人が多いことが問題なんじゃないかなと思っていて、つまるところ「レビュワーのリテラシーをもっと醸成しなくちゃいけない」ということにスポットライトを当てるべきなんじゃないのかなと。
でも当たり前ですが別にレビュー自体はどんな人がやってもいいわけで、僕から観てどんなにひどいレビューだろうと存在すること自体はいいんじゃないかなあと思います。僕がもっと必要だと思うのは、レビュー自体もその作品同様に誰かが見るもので、価値を問われるものであるという自覚を持って書くべきだということです。いや、だからといって気に入らないレビューしてるやつは叩いて炎上させても良いという話ではないんですが、要は「見張りを見張る人がいる」ということをすこしだけ頭に入れて作品のレビューを書いたほうがいいよねという主張を持っています。
ただまあ今回の話に僕が乗っかれるかというと、ちゃんとしたデータを持って臨めないのであくまで僕は外野から狂ったモヒカンになって傍カンするしかないといったところです。ですのでオレの考えで便乗したろう!というよりは、今回のテーマにかかる色んな人の知見を読んで学びを得る機会かなと捉えています。よし、いい人アピールできたな。
あまり炎上とかマイナスな騒ぎになることなく、この話題が実りあるものになるといいなと思いながら見守っています。