12garage

主にゲームと映画についての雑記。

箱庭オーディオをいじる:破 ~ スピーカー新調(DENON SC MX33)と真空管アンプ導入(FX-AUDIO- TUBE 00J UNLIMITED)

 まさかタチャンカが少年誌の広告に載るとは思わなかったよ。

 さて、以前組んだ箱庭オーディオ環境を結構いじったので記事を書いておきます。今回はスピーカーの変更と真空管アンプの導入です。最近なんだかピリピリした記事を書くことが多かったので、今回はまったりやっていきましょう。平和が一番!ラブアンドピース!


もくじ


前回までのあらすじ


12garage.hatenadiary.jp


 今年の2月末くらいに、せっかくDACを買ったんだからとふと思い立ちオーディオシステムを構築。「とりあえず音が出る」をテーマに、まあまあ安く買い揃えて構築しました。かいつまんで説明すると、「パソコンやオーディオプレイヤーからDACに出力し、その音をアンプで増幅してスピーカーを鳴らそう!」という趣旨です。
 ちなみに前回だれにも突っ込まれなかったので自分で説明しますが、見出しをすべて実在の曲名からとっていました。

 もちろん最初のうちはこれでいいかなとは思っていたものの、記事中でも触れたとおりケンウッド LS-7proのあまりの低音の出なさ具合に不安を感じ始め……ついに買い替えを決意しました。そうと決まったらハードオフへGoGo!!


スピーカー新調(SC MX33)



 そうして見繕ってきたのがこのDENON SC MX33

 これはなかなかに悩んだ買い物でした。なにしろネットに情報がほとんどない。マジでちょっとしかない…。どうやら2007年に発売されたデノンのコンポの一部だったらしく、ハードオフお得意の分割売りでスピーカー部分だけになったのがコレみたい。ポータブルオーディオ界隈のデノンのイメージを頼りに、「たぶん無難にこなしてくれるかな…」という淡い期待を胸に購入。


 結果としては上々でした。
 もともとLS-7proのウーファーがいまいちすぎて低音が聞こえないがためにハードルが下がりまくっていた部分はありますが、それを差し引いても満足できるバランスは実現しているように思います。もともと高音はリニアムツイーターを持つLS-7proの得意とするところですが、MX33もそう劣ることのない十分な透明感があり、とりたてて悪さを感じるところはナシ。
 それになにより低音がしっかり出る!!!素晴らしい!!!やはり音楽というのはある程度フラットでないと落ち着きませんね。あんまりにも出ない音域があると、さすがに鈍感な僕でも気にかかって音楽に集中できなくなる。もともと低音が出ないスピーカーからの変更なので中立的な評価はできませんが、このスピーカー自体若干低音寄りっぽい雰囲気がありますね。
 空間表現はやや狭いような気もしますが、解像感は良好であまりダンゴになっていない。悪くないですね。傑作スピーカーかどうかと言われると微妙ですが、十分に音楽を聞くための役割を果たせていると思います。



真空管アンプ導入(FX-AUDIO- TUBE 00J UNLIMITED)


 そしてそうなると次は出てくる音自体をいじりたくなるのがオーディオ沼です。

 おそろしいねぇ…。


 かねてより試してみたかった真空管アンプを導入しようと画策します。

 オーディオについてあまり詳しくない方は「結局、真空管って何?なんで挟むの?」というところが気になるかと思われるんですが、これはいわば「音を加工」するために挟みます。ものすごく雑に表現するとフォトショやSNOWで盛るのと同じです。
 真空管というものは皆さんも御存知の通り、とっくの昔にトランジスタ集積回路に取って代わられているので、単純に増幅させる性能だけで言えばこういったICチップを使っているいまのデジタルアンプに軍配が上がります。鮮明で解像感の高い音を聞きたいだけなら真空管はあまり必要ではないです。しかし見た目にも面白く独特な丸みを帯びた音、いわゆる倍音など味のある音を出してくれるため、一定の人気を集め続ける魅力があるわけですね。

 また、ソース(源流)をアナログレコードからとってデジタルを挟まずすべてアナログで統一するといった楽しみ方もあるので、効率やスペックだけで判断できないのがオーディオの奥深いところでもありますね。自分の納得できる音を作るためにあれこれ考えるのが楽しいです。


 今回導入したのはこちら。



 前回でもアンプを採用したFX-AUDIO-の真空管アンプの限定版です。
 真空管アンプと言えば平気でウン万円しますが、このメーカーは工場が中国にあるので安く買えるのが強みですね。価格が抑えられているといろいろなものを試しやすくていいです。
 ちなみに先ほどから真空管と言ってはいますが、このアンプは真空管とICチップを併用しているので厳密にはハイブリッドではあります。まず真空管を通してからオペアンプで増幅する、という構造なわけですね。

 …ぜんぜん関係ないですけど「中国製だから安いし一流には及ばないけど、わりに良いやつだよ」っていう説明をしていると、なんかバキが勇次郎とめかぶの添加物について話してるくだりが思い浮かぶのは僕だけでしょうか…。

 

いざ尋常に設置




 食器用のラックを使ってタテ方向に配置。以前のすさまじいケイオス配線と比べるとウソみたいにすっきりしましたね。積み重ねてオーディオタワーバトルだ!

 配線はプレーヤー→DAC真空管アンプ→デジタルアンプ→スピーカー、の順。ちなみにこの真空管アンプはライン出力程度しかパワーが無いので、あくまでプリアンプとしての運用になります。



 ちなみに真空管はこんな感じ。例の大星、北京という磨(す)りが入っている通り、中国製。軍用品なのでたぶん人民解放軍のストックだったのかもしれません。足ピンはすこし酸化していたのでKUREのコンタクトスプレーを吹いてきれいにしました。
 いろいろあんちょこを書いてはきましたが僕自身、真空管をここまで間近に手にとって扱うのは初めてでした。むかしはこれを使って計算機つくったり工場のライン制御をしていたり、潜水艦や防空レーダーにも入っていたんだなと思うと、歴史に思いを馳せざるを得ないですね。よくこれで動いてたな……。





 ちなみに真空管自体が光るのと、下からライトアップされて雰囲気があります。単色固定なので16777216色にはなりません。残念。


実聴


 結論から言うと確実に音の変化がありました。僕はだいぶ機微というやつに疎いほうですが、それでもわかる程度に違いがある。いいですねえ。

 まず低音の太さ、量感についてはズッシリと増えた印象です。音が太すぎるッピ!低音が増えると言ってもダボついて締まりのない音になるわけではなく、きちんと聴き応えがある。
 対して高音はあまり変化がないというのが意外でした。というのも、もともとDACで作ったキレのある高音が、真空管を通ってもウォームにならず繊細さを保っているからです。真空管を通っているにも関わらず高音が鮮明。これは全然想像してなかったですね。


数曲でテスト



 宇多田ヒカルを聞くと問答無用でゼロ年代の肌感覚に引き戻されるのはなんででしょうかね……Travelingがあまりにもあの時代の象徴になってるからかな?めっちゃ懐かしい感じするけど実際にはTravelingのシングルが発売されてからたった6年後に新劇場版:序が公開されてるんで時間感覚おかしくなってくるなぁ………。


 先ほど触れたとおり、高音がDACからデジタルアンプに直出ししたときと全く遜色なく出てくれるので伸びやかで気持ちいいですね。全然持ち味を損なってない。もともとの曲に含まれる音の柔らかさはより増して心地良い…。
 続くBeautiful WorldのDa Capoバージョンもサビから入るベースとキックが超太い!う~ん非常によろしい。



 急にテスト曲のIQがめちゃくちゃ下がりましたが、これも空間表現がいい。純粋な楽曲だけでなくて音響の方も面白くなりますね。立川についぞ行けなかったのも悔しいし、映画本編ぜんぶ真空管通してクソ爆音で聴きたいなあ……。ウオーッ!!!イモータン・ジョー!!!!
 



 う~んハウスもいいですね。そもそもマスタリングまでこだわってやってるらしくてDA兄貴の曲がめちゃくちゃいいというのもありますが。

 バスがしっかり効いてるので聴いててノれる。あと音が優しくなるのでハウスというジャンルによく合ってるんですよね。たのしい。


まとめ


 真空管が思ったよりすごかったなあという印象です。へぇ~こうなるんだ~~。
 今回はテストに挙げなかったですが、サカナクションのように中音域を多用するアーティストに対してもすごく音を引き立ててくれます。

 おっさんの趣味かと思いきや、オーディオはこういうふうに安い機材からはじめてコンポーネントを取り替えたりつないだりするのが面白くて、あとから手の加えようがいくらでもあるのが素晴らしいですね。真空管自体も取り替えられるしくみになっているので、俗に言う「玉転がし」もいずれトライしてみたいところです。

 社会人生活をしていると何かと忙しくて新しいことをやらなくなっていってしまうので、こういう興味持ったことをどんどんやってみる生活を続けたいですね。やってみるといろんな業界のことが知れて楽しいです。もしみなさんも興味があれば、なにかと外出しづらいこの時期に箱庭オーディオを組んで見るというのもいいもんですよ。


(棚に積み重なった趣味用品から目を背けつつ)


<了>