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主にゲームと映画についての雑記。

【Steam】おまえをローグの国へ連れて行く

 よくきたな。おれは逆噴射エイク郎だ。 おれは数日前、騎士の国カジミエーシュの闘技場に立っていた。


 スタジアムの熱狂、巨大企業の広告ネオンがおれの目をうるさく突き刺す。立ちはだかるは悪名だかきブラッドボイル騎士団の中堅。すでに持久戦にもつれこみ互いに息を切らしているが・・・ゆだんならぬ相手だ。おそらくこちらの弾切れを狙っての防戦であろう。おれはリボルバーの残弾をカウントする。右に3、左に2、スピードローダーはもうない。5発で勝負を決める必要がある。だが、ヤツに銃弾が通用しないことは先刻実証済みだ。ここカジミエーシュでは装備に自由がきき、たとえばスポンサーにアーマーの企業があれば、銃弾や榴弾を―――たとえばギターケースに仕込んだロケットランチャーすらも―――受け止める鎧を身につけられる・・・カネ次第で。おれは血のまじったツバを吐く。しんのおとこたちのぶつかり合いを期待したおれは、ここ数戦でイヤというほどに思い知らされてきたのだった。騎士の名を借りた企業同士の代理戦争、Pay2Winに次ぐPay2Win・・・・札束同士のつまらんイクサへの失望を。だが、それもここで終わりを告げる。
 おれは一直線に駆け出し、ポンチョを投げつける。「こしゃくなマネを!」騎士がまっぷたつに布地を引き裂いた隙にふところにすべり込む。おれは0インチ射撃を繰り出した!BLAM!とうぜん弾かれる。「デガージュ!銃撃は無意味だとわからんのか?サルめ!」しかし腰抜けが悪罵をはっした瞬間、おれはすでに回転を始めていた。銃撃の反動をのせ、右手に握った改造M19のメタルスパイクグリップを騎士の喉元めがけて叩き込む!「オゴーッ!!!」BLAM!左から発砲!銃撃の反動をのせ、左手に握った改造M19の裏拳を騎士の喉元めがけて叩き込む!「オゴーッ!!!」BLAM!右手に握った改造M19のメタルスパイクグリップを・・・防がれる!
 「ゴボボ・・・・小僧、見切ったぞ!格闘なら騎士の有利!そのままコマのようにでも踊っておれ、もはや急所狙いの打撃は・・・・」「踊り?すまんがダンスはからっきしでな」おれは跳躍し、ピタリと騎士のヘルムに狙いをつけマグナムを同時発射した。銃口が火を吹く!BBLLAAMM!!「くどい!効かぬぞ!」そのまま縦に回転、回転、回転回転回転!勢いをのせ、右足左足の鉄芯を仕込んだブーツヒールで騎士のヘルムを強打、強打!「アディオス・アミーゴ!!」「グワーーーーッ!!!」伝説の賞金稼ぎ、マスター・ソーイチローが編み出したと伝わるデスペラード暗黒拳法がひとつ・・・マリアッチ・カカトオトシだ!重厚なアーマーをつらぬく二連衝撃にたまらず脳震盪!騎士の巨体が倒れ伏した!
 「とくにデュエットがダメなんだ。足クセがわるすぎる」おれはズタズタのポンチョだったものを拾い、ホコリを払った。


 「南米騎士!一言おねがいします!!」「帰国の理由をおしえてください!南米騎士!!」「ベジ・タコス社から公式スポンサー契約のオファーをされていましたよね!?」おれは闘技場の出入り口に殺到する記者どもを押しのけた。マネー、マネー、マネー・・・・メタバースにむらがるNFT集団めいたこの国の拝金主義にはうんざりする。サングラスをとり、おれは答えた。「おまえたちのごっこ遊びにはもう飽きた。不屈の祭典・・・・しんの戦場がおれを呼ぶ」
 その足で日本行きのフライトチケットを予約すると、おれはSteamでまだ見ぬ黄金のゲームに思いを馳せた。






※記事のリスペクト元:[逆噴射聡一郎先生](https://diehardtales.com/n/n73ec21c8457b)

独特な観点からレビューをおこなう社会派コラムニスト。しんのおとこでありゲーマー。


 さて、今回のSteamフェスティバルはローグ系にスポットライトを当てたものだ。記号でしめされたマップを頼りにランダム生成のダンジョンに挑む元祖・ローグから枝分かれして、アクションゲ0ムやターン制シミュレーションにローグのエッセンスを取り込んだローグライク、そしてさらにローグライクを遊びやすくしたローグライト・・・・がメインとなっている。そのあたりのせつめいはSteamに記事があるからそこを読めばいいだろう。
 そして、ゲイブがトチ狂ったのか太っ腹すぎるのか、ソウルライクメトロイドヴァニアまでセール対象になっている。え、ナンデ・・・? まあ、それもまたしんのおとこが遊ぶべき良いゲ0ムが揃ったジャンルなので遊べばいいとおもう。適当にやれ。
 今回もおれの知っているゲームの中から数タイトル紹介しておこう。おまえをローグの国へ連れて行く。




HADES



 冥界の神ハデスの息子、ザグレウスはウンザリしていた。来る日も来る日も死者の陰気なツラを見ながら、冥界の外を想像する日々に。ある日ついにザグレウスの鬱憤がバクハツし、彼はオヤジの言いつけを破って飛び出した・・・・。

 ギリシャ神話をもとにした、見下ろし型アクションローグライクだ。こいつはすでにめちゃくちゃ大量の賞をとっており、すごいゲームであることを実証している。Steam酒場のマスターに「おすすめのローグライクをひとつ」と頼めばまずこいつが出てくるだろう。

 ドッジを駆使した非常にスピード感ある戦いもさることながら、セリフ回しといったシナリオ面も秀逸なタイトルだ。キャラクターの掛け合いから読み取れる性格も「あ~~こいつはこうゆうことを言う」とギリシャ神話に忠実なつくりになっており、ちょっとした神話のお勉強にもなるナイスなゲームといえる。たとえばハデスのオヤジは昔からマジメくんなので、かつて巨人との戦いでチョー活躍したにもかかわらず、その後の領地決めでゼウスのあほが言い出したくじ引きに従ってだれもやりたがらない冥界の管理を引き受けている。そのへんのクソ真面目な性格は作中にもキッチリ反映されている。また、ザグレウスはハネっ返りの強い不良少年と思いきや、父親や手助けしてくれる神々にちゃんと礼儀をもって接しており、なにかしてもらったらお礼を言えるえらい子なのでプレイしていて愛着が湧いてくる。
 神話という観点で言えば、そもそもザグレウスという神が出てくる資料もそう多くなく、さらにハデスの息子であるという設定は「シシュポス」くらいにしか見られないドマイナーなお話らしいのでそのへんを調べてみてもおもしろいだろう。


sylphes.hatenablog.com  ネタバレがあるのでクリア後に読むといいが、こちらのこうさつ記事は資料も明記しており非常に興味深い。


 繰り返し遊ぶことで上達したり、新たな武器を手に入れられるようになったり、ビルドを考えてこう築するローグライクらしさがたっぷり詰まった作品だ。セール価格というわけではないが、元値がすでにかなり安いのでゴールデンウィックーのお供におすすめできる。まずはこの一本から遊んでみるのもいいだろう。



Dead Estate



 雨がしとどに降りしきる中、ヒッチハイカーのJules(ジュール)はトラック野郎のJeff(ジェフ)に運良く拾ってもらえたが、あいにくタイヤがパンクし立ち往生してしまう。トラックを降りたところなにやら様子のおかしい暴漢にでくわしたため二人は洋館へと逃げたが、まさしくそこが魔窟だった・・・。


 もとはフリーゲームとして公開されていた作品をブラッシュアップし、製品版としたものがこのDead Estateだ。銃や近接武器、ジャンプを駆使して気味の悪いモンスターどもをブチのめそう。



 コスプレ好きでゲラの魔女のねーちゃんといったイカしたキャラデザインも気に入っているが、なによりこのタイトルはゲームに影響するアンロック要素が新キャラしかないというところがだいぶロックしている。よくこういったローグライトでは周回によって便利アイテムが解放されたりするが、このゲームはすべて最初からオープンしているのだ。すべての武器や装備などはそのまま全部あるがために、ドロップや店売りから何を選ぶか考える必要があり、純粋に実力と知識、そしてちょっとのアイテム運でこのMEXICOと渡り合っていくことになる。なんならめちゃくちゃアクションゲームのうまいバンデラスなら一発クリアも可能だ(まあ無理だろうが)。
 さらに、のんきにフロアをうろついているとドシン、ドシンと床を踏み鳴らし・・・・Chunks(チャンクス)なるフザけたワンパン火力の化け物が刈り取る者めいて追いかけてくる。素早い判断、取しゃ選択をせまられるス・リ・ルが、おれを灼熱のだいちに呼び戻す・・・・。

 プレイしていくうちに上達し、少しずつ到達階があがっていく様子は古き良きアーケードゲームを思わせる。日本語化されていないことと難易度がちょっと高めなのがタマにキズだが、「歯ごたえが足りない・・・モア、MEXICO・・・・」と嘆くハードコアゲーマーには推せる一本だと言える。



The Last Stand: Aftermath



 おまえは感染した。治る見込みはない…


 かつてフラッシュゲームで存在した拠点防衛ゲーのThe Last Standシリーズ、その装いを新たにローグライトとして開発されたのが本作だ。

 おまえはすでにゾンビウィルスに感染している。本来であればすでに抗体が発見されており、それを打っていれば感染することはなかったはずだが・・・・なぜか効かなかった。おそらく変異株に感染してしまったのかもしれない。なんにせよ、もはやおまえの命は風前のともしびだ。覚悟を決めた修羅として、真相解明のため志願者たちはゲートの外へ打って出る・・・。


 このゲームはよくあるローグライクゾンビゲーのような、「感染しないように長生きしよう」とかそうゆうレベルの話はしていない。いやもうぶっちゃけ感染しちゃってるんだよな。なにもしなくてもしぬ。なにかしててもしぬ。確実にしぬ。そんな死期が完全に決まっており覚悟もキマっている薩摩武士みたいな連中を操作し、変異したウィルスの謎を追っていく。
 本作ではサバイバル要素はわずかにあるが、飢えや乾きをさほど重視しておらず、なにより先述した感染の進行と戦っていくことになる。そんなにプレイヤーを苦しめるゲージは多くないので、言ってしまえばローグライトではある。周回をかさねればスキルポイントを使って有利なアビリティを永久アンロックできるし、サクサクと進んでいける。しかしだからといって生半可でヌルいゲームではないとゆうことは言っておく。序盤は息をころしてステルスせねば一瞬で感染者の集団に襲われ、ナメたこしぬけは骨も残さずくたばるだろう。遠くに到達すればするほど敵はどんどん強くなり、感染を早める要素がウヨウヨ湧いて出てくる。ときにピストルでこっそり始末し、ときにショットガンやアサルトライフルで貴重な弾薬と引き換えに一掃する必要もある。刻一刻とおまえの体力ゲージの上限をむしばむ感染をすこしだけ止めておけるワクチンもあるが、そう簡単に手に入るものでもない。血まなこで物資をあさり尽くし、即席でクラフトした火炎瓶で戦わねばならない場面もそんざいする。ひりついた灼熱の空気がただよってくる・・・・。


 一筋縄ではいかない難易度でありつつも、周回することで遊びやすくなるユーザーフレンドリーな作品だ。今回は割引の対象になっていないが、公式で日本語化されておりとっつきやすい。ちょっと手頃なゾンビサバイバルゲーをやりたいな・・・・と思ったら、これもおすすめの一本だ。



Risk of Rain



 おれは以前、これの続編にあたるRisk of Rain2をすでに紹介している。だが「じゃあ2があるから初代はそんなにおもしろくないね」などとのたまうヨーチューブの陰謀論動画に毒されたうらなり野郎がいるであろうことはリサーチ済みであるため、決断的に書いておく。はっきり言っておこう。このゲームは2よりもMEXICOだ


 このゲームは、不幸にもド田舎のなんかよくわからん星に墜落してしまった輸送船・コンタクトライト号の乗組員たちが生き残りをかけてあらがうローグライクアクションだ。時間経過とともに上がっていく難易度にハラハラしながら、すばやくアイテムを集めて自分の火力をインフレさせていく2Dゲームとなっている。そう、2D。Risk of Rain2(以下RoR2)はなぜかいきなり3DTPSになりシューティング要素が強い別ゲーになったのだが、オリジンは2D アクションだ。発表当時は「ナンデ!?TPSナンデ!?!?」とZRS(続編リアリティショック)を受けるサバイバーたちが結構いた気がしなくもない。いや正直おれだけだった気もする。
 では3DからDが1個たりない2Dだからつまらないか、というとそうではない。たとえばTPSであるRoR2では敵の攻撃を上下左右にかわすことができる。ところがオリジンであるRoR奥行きの概念とかゆう贅沢品は存在しないのでドッジやムテキ時間を駆使して戦う必要がある。よりハードコアで、「いつどのタイミングで回避スキルを使おうか?」「攻撃させる前にせんめつしてしまったほうがよいのでは?」と先を見すえた戦術をとらねばならず、そもそもまったく違うゲームであることが完全にしょうめいされている。


 とはいえ、ものすごく難しくてとっつきづらいゲームかというとそうでもない。まずは初期キャラクターのコマンドーで数回さわってみて、エンフォーサーのアンロックを目指してみろ。エンフォーサー使うと機動力と引き換えに正面からの攻撃を全て無効化するというイカれたアビリティを持っているため、コロナビール片手に鼻歌まじりで敵の猛攻をさばくことができる(代わりに足は死ぬほど遅い。のんきに探索してると秒で難易度が上がっていく)。最初は敵がフザけた火力で殴ってくるなと感じるだろうが、こちらも負けじと狂ったスキルを所持しているのでそのへんは慣れてくれば意外とバランスがとれている。

 公式での日本語化はされていないが、有志のバンデラスたちが非公式での日本語化パッチを作ってくださっている。続編のRoR2ともどもおまえの時間を奪いさるすさまじいゲームだ。これが1000円以下なのは信じられん。




今すぐこのローグ祭りをクロウルしろ


 おれの知っているローグライクタイトルをいくつか挙げた。これらが真におもしろいゲームであることはおれが保証する。あそべ。

 しかしまだまだ知らないゲームがSteamには大量にそんざいし、自動生成めいておれのまえに立ちはだかっている。これは、征服すべきむげんの大地・・・・MEXICOだ。おまえもこのゴールデンウィクーを存分に活かし、このビッグフェスティバルのダンジョンをクロウルすることだ。話題のゲーム、まえから気になっているタイトルが目の前に広がっている。おれはいま、剣を片手にたいまつを掲げ、偉大なせんしの道をゆこうとしている・・・・。



(逆噴射エイク郎)